消化管グループ

概要紹介

質の高い診療とともに、
最先端の研究を世界発信できるよう、着実に歩を進めていく

現在、消化管グループは、小原 英幹、谷内田 達夫、千代 大翔、小林 伸也、松井 崇矩、小塚 和博、中谷 夏帆、小山 裕紀子、西山 典子、藤原 新太郎を中心に消化管全般の診断と治療に携わっています。

歴史ある当科の内視鏡部門は、偉大な先輩方が独創性の高い多数の傑出した研究業績を残されており、後輩としてより一層の発展に努める責務があると肝に銘じています。内視鏡とは日本より発祥し、世界で誇れる分野のひとつであり、日本人固有の特性である几帳面さや手先の器用さがこの内視鏡を発展させてきたと、若い先生に魅力を伝えながら指導しています。

診療面では、内視鏡分野にbreak throughをもたらした本邦発祥の一括根治切除が可能な内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、年間約180例以上と、四国有数の症例数を誇り、大学病院ならではの高度医療を提供させて頂いております。当グループの合言葉‘innovation’のもと、日々培われた豊かな着想力を以って、より手技を簡便にする新規性の高いTipsや、偶発症に対する新機器を取り入れたマネージメントなど、標準手技をより一層高いレベルに引き上げるための研鑽をして参りました。その成果として我々のチームが発足以来、ESD術中偶発症に伴う緊急外科手術移行例ゼロは、結晶のひとつであります。また、実臨床で直面する難題に対する解決法として粘膜下腫瘍に対する新たな組織採取法も生み出されてきました。

研究面では、近年、ESD手技がほぼ確立され、新たな局面を迎えるなか、時代の潮流に合った次世代内視鏡の機器開発として、産学官・医工連携プロジェクト:Kagawa-NOTES projectのもと、本邦初の軟性内視鏡用・全層縫合器が薬事認可間近の最終段階に入っております。当縫合器が、既存の機器で限界とされる消化管瘻孔閉鎖のみならず新たな超低侵襲性術式の確立に多大な恩恵をもたらすであろうと確信し、加速力を持って邁進しております。更に、本幹の内視鏡学のみならず消化管癌および炎症性腸疾患の機序解明を目指した基礎研究という枝葉を育みつつ、多角的に研究を広げ医学的貢献をしたいという思いが浸透してきております。

目に見える実績として、2期連続の国際学会賞受賞をはじめ、多数の英語論文が発信されるとともに、国内向けにも依頼原稿および講演依頼を数多く頂けるようになりました。これもひとえに、正木教授の寛大な力強い後押しと関連病院の諸先輩方の御支援の賜物と感謝しております。

我々の強みである発想力・突破力のみならず精神力・持久力も磨きながら質の高い診療とともに、最先端の研究を世界発信できるよう、着実に歩を進めていく所存です。

過去5年間における消化管ESD件数推移

香川大学医学部消化器神経内科における
年間ESD/EMR/ESD関連手技治療内視鏡総件数の推移

スタッフ一覧

小原 英幹
講師小原 英幹Hideki Kobara消化器内科
専門分野
消化器内科・特に消化管疾患(消化管悪性腫瘍の内視鏡治療)
専門医等資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医
日本消化管学会胃腸科専門医 ・指導医
外来診察曜日
月曜日
谷内田 達夫
講師(総合内科)谷内田 達夫Tatsuo Yachida消化器内科
専門分野
消化器内科・特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
日本ヘリコバクター学会H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医
日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医
日本病院総合診療医学会病院総合診療医
外来診察曜日
水曜日
木曜日(午前)
千代 大翔
学内講師千代 大翔Taiga Chiyo消化器内科
専門分野
消化器内科、特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本医師会認定産業医
外来診察曜日
火曜日
松井 崇矩
病院助教(内視鏡診療部)松井 崇矩Takanori Matsui消化器内科
専門分野
消化器内科 特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
外来診察曜日
水曜日(午後)
小塚 和博
病院助教小塚 和博Kazuhiro Kozuka消化器内科
専門分野
消化器内科 特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
外来診察曜日
火曜日(午後)
中谷 夏帆
医員中谷 夏帆Kaho Nakatani消化器内科
専門分野
消化器内科特に消化管疾患
専門医等資格
日本専門医機構認定内科専門医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
外来診察曜日
 
小山 裕紀子
医員小山 裕紀子Yukiko Koyama消化器内科
専門分野
消化器内科特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医
外来診察曜日
 
小林 伸也
医員小林 伸也Nobuya Kobayashi消化器内科
専門分野
消化器内科、特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本ヘリコバクター学会H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
日本医師会認定産業医
外来診察曜日
 
西山 典子
臨床講師西山 典子Noriko Nishiyama消化器内科
専門分野
消化器内科・特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
外来診察曜日
木曜日(午後)
藤原 新太郎
客員教授(地域医療連携医学)藤原 新太郎Shintaro Fujihara消化器内科
専門分野
消化器内科、特に消化管疾患
専門医等資格
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
外来診察曜日

診療概要

当院の「内視鏡診療部」部門は、平成30年10月に現在の2倍の面積310m2を有する新内視鏡室として生まれ変わります。最新の電子内視鏡システムを配備した検査室5室に増床されます。最新の所見記録システムが、平成30年1月より配備され、より精密なデータ管理が可能となりました。

診療面では、消化管疾患に経験豊富な専門医が、食道・胃・小腸・大腸全般の診断と治療に携わっています。診療内容の詳細及び特色を下記に示す。

消化管疾患の診療内容
【内視鏡検査】

  • 上部・下部内視鏡
  • 通常観察・スクリーニング
  • 術前精査(拡大内視鏡・EUSなど)
  • カプセル内視鏡実施・読影
  • 小腸内視鏡検査
【内視鏡治療】

  • 食道・胃・大腸・十二指腸ESD/EMR
  • 食道静脈瘤破裂・動脈出血
  • 難治性出血・穿孔、瘻孔、縫合不全に対する全層縫合
  • LECS:腹腔鏡・内視鏡合同手術
【特色】

  • ESD治療:中四国で上位
  • 出血,穿孔,瘻孔に対する内視鏡用・全層縫合器Over-The-Scope-Clip (OTSC)による全層縫合

近年、胃腸の内視鏡は、デジタル化時代とともにめざましい発展を遂げています。毛細血管の赤血球の動きや、がんの微細な血管がみえる顕微鏡のようなカメラが開発され、‘みえなかったものがみえる’ようになりがんの早期発見が可能になっています。また、治療分野では、本邦発祥の内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection;以下ESD)という画期的な内視鏡手技で臓器を温存してなおる時代になっています。

県内外のあらゆる地域から早期消化管癌に対するESD目的に数多くのご紹介を受け、高い内視鏡技術を提供しています。治療成績は、多数の治療経験のある内視鏡専門医が、最新の拡大特殊光スコープによる範囲診断をもとにESDを行い、その一括切除率は、全国のハイボリュームセンターと遜色ない良好な成績を残しています。特に2時間を越えると予測される治療困難な病変については安全性を重んじた全身麻酔下ESDを導入しています(図1)。


[図1:吻合部残胃癌に対する全身麻酔下高難度ESD]

更に、胃間葉系腫瘍に対し、内視鏡医と外科医の合同で胃内腔からESD手技にて最小限の局所切除を行う腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(LECS)という低侵襲治療を先駆的に行っており、経験値が高い治療手技となっています。特色をまとめると、高難度ESD、LECS、合併症時のOver-The-Scope-Clip(OTSC)システムを用いた消化管全層縫合による外科手術回避などが挙げられ、良質・安全・高度な内視鏡医療を地域に提供するという大学病院としての使命を果たすことに努めています。

研究概要

小原 英幹講師主導のもと、体表面に傷のない軟性内視鏡手術 (NOTES: Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)が全盛であった2009年から、Kagawa NOTES projectを組織的に設立し、知財・特許・工学部・微細工学センター・医学部が一同に会し、様々なデバイスの開発から商品化に進み、産学官・医工連携を展開してきました。これらの領域は、世界的にも内科・外科の枠にとらわれない新たな消化器病学として、開発から製品化まで競争し合いながら発展しつつあります。これらの潮流に遅れないように、個々が意識を持って研究した成果として、2012年APDW(Asia Pacific Digestive Week)、 2013年UEGW(United European Gastroenterology Week) にて国際学会賞を受賞しています。
当科の研究は、以下の3本柱で成り立っています。

  1. 現臨床レベルでの創意・工夫による新手技の開発
  2. 産学官・医工連携による次世代医療機器の開発
  3. 消化管癌の病態解明・バイオマーカー・創薬を目指した基礎研究

詳細は「研究活動:消化管グループ」をご覧ください。